歴史と伝統を備えた超高級ブランドであるとして特異性を主張しましたが、日本における著名性が認められず、類似と判断されました。
原告は,歴史と伝統を備えた超高級ブランドについて,十分な知識と経験を備えた超富裕層である需要者の間では,「CIFONELLI」ブランドは,「チフォネ
リ」の称呼のもと,最高級の紳士スーツについて広く認識された存在となっている
から,本願商標と引用商標との類否判断に当たっては,かかる取引実情を考慮すべ
きと主張する。
しかし,原告が日本に進出したのは,2000年秋であり(甲7),原告商品が取
り扱われている百貨店は,東京の新宿伊勢丹(甲11),大阪の阪急メンズ大阪(甲
12),東京の銀座三越(甲13)及び東京の日本橋三越(甲14)等の数か所にす
ぎない。また,原告の紹介記事等は,2000年8月ころ(甲7)及び2009年
春ころ(甲8)にファッション雑誌に掲載され,2010年2月16日公開のファ
ッション情報ウェブサイトに掲載された(甲10)ほかは,原告商品を取り扱う百
貨店のパンフレット(甲9,11〜15)に記載されているだけであり,ウェブサ
イト上の質問コーナーの回答中に原告商品への言及(甲16)が認められるにすぎ
ない。一般に広く需要者が閲覧する雑誌及びウェブサイトへの記事掲載が,証拠上,
2000年以降現在までわずか4回にすぎないこと,百貨店のパンフレットのうち,
甲9は2011年春物の紹介であるから配布期間が短く手に取る者は限定されてい
たであろうし,甲14は紳士服オーダーサロンにおける春のオーダー会の紹介とし
て,原告ブランドが他のブランドと並んで紹介されているにすぎず,掲載期間及び
需要者がアクセスした期間は限定されており,甲15は伊勢丹新宿店のウェブペー
ジであって,他の取り扱いブランドと同様に原告商品の仕立て料金等を表示しているにすぎず,甲11〜甲13は,百貨店のフロアガイドであって,他のブランドと
同等に原告ブランドが記載されているにすぎず,ウェブサイト上の質問コーナー(甲
16)を閲覧した者が相当多数であったと認めるに足りる証拠もない。原告の日本
における売上げは,2013年及び2014年の3月〜9月(7か月分)で700
0万円近くと認められる(甲32)ものの,かかる金額が,紳士服の1ブランドの
売上げとしてその周知著名性を基礎付けるほど多額であると認めるに足りる証拠も
ない。
上記の事実を総合考慮すれば,本願商標が,原告の扱う最高級の紳士服を示すも
のとして,本願指定商品の需要者である男性の間で周知又は著名となっていたとは
認められない。したがって,本願商標に係る需要者層が富裕層の男性に限られ,本
願商標に係る商品が高級な男性用スーツ等に限られるとする原告の主張には,理由
がない。
◆判決本文
◆関連事件です。平成27(行ケ)10154