平成27(行ケ)10232  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成28年4月14日  知的財産高等裁判所

 商標「メロンマルゴトクリームソーダ」が識別力なしとして拒絶されました。指定商品は32類「メロンを用いたクリームソーダ」です。
 前記(3)に認定した事実によれば,本件審決日当時,果実を利用した飲料 や菓子等の取引分野において,「まるごと」の語の前又は後に果実を表す語を結合した場合,あるいは「まるごと」の語を果実を形容する語として用い た場合には,「まるごと」の語は,当該果実の果肉や果汁が残さず用いられ ていることや,当該果実がその形状のまま用いられていること(当該果実が 切り分けられたりすることなく用いられる場合のほか,その外皮部分が容器 等として用いられる場合を含む。)を表す語として,一般に理解されていたことが認められる。 そして,本願指定商品である「メロンを用いたクリームソーダ」の取引者,需要者には,かかる飲食物の提供者である飲食店や,その提供を受ける一般 消費者等が含まれると考えられるところ,前記⑵のような本願商標を構成する「メロン」,「まるごと」及び「クリームソーダ」の各語の意義に加え,「まるごと」の語が果実を表す語と結合した場合や当該果実を形容する語として用いられた場合の,上記のとおりの一般的な理解の内容に照らすと,本 願商標を構成する「メロンまるごとクリームソーダ」の語は,本件審決日当 時,かかる取引者,需要者によって,「メロンの果肉や果汁が残さず用いら れたアイスクリームソーダ」や「メロンの外皮を容器としてそのまま用いたアイスクリームソーダ」を意味するものとして,一般に認識されるものであったと認められる。 そうすると,本願商標は,本件審決日当時,本願指定商品である「メロン を用いたクリームソーダ」に使用されたときは,当該「メロンを用いたクリームソーダ」が「メロンの果肉や果汁が残さず用いられたアイスクリームソ ーダ」や「メロンの外皮を容器としてそのまま用いたアイスクリームソーダ」であるという,本願指定商品の品質を表示するものとして,取引者,需要者によって一般に認識されるものであり,かつ,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであったと認められるものであるから, 特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,自他商 品識別力を欠くものというべきである。 加えて,本願商標は,「メロンまるごとクリームソーダ」の文字を肉太でやや縦長のポップ調の書体で表してなるものであるが,この書体自体は既存のものであるし,文字の太さや縦長の形状であることについても,それ自体 はありふれたものの域を出るものではないから,「メロンまるごとクリーム ソーダ」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるもので あって,特別に自他商品識別力を有するような特殊な構成を有しているとも認められない。 したがって,本願商標は,商標法3条1項3号に該当するものと認められ る。

◆判決本文

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