特許権侵害ではないと判断されました。原告は日本および中国の大手通信会社を被告として、数件訴訟しています。特許も複数あるようです。
この点,原告は,情報処理技術分野における用語法などからすれば,「選択」
には全てを選択することが含まれると主張し,ユーザ端末が全部のサブバンドを選
択することもこれに該当する旨主張する。
しかし,仮に,本件各発明に関連する技術分野において「選択」との文言が上記
のように用いられることがあるとしても,加入者が全部のサブバンドの差分CQI
を報告する以外の選択肢がなく,常に全部のサブバンドの差分CQIを報告しなけ
ればならない状態についてまで,「選択」の語義に含まれると解するのは妥当でな
い。前記前提事実に記載のとおり,被告通信システム方法及び被告製品においては,
基地局により本件モードを選択している以上,加入者は,基地局からのパイロット
信号に対し,全てのサブバンドの差分CQIを報告する以外に選択の余地はないの
であるから,原告の上記解釈は採用することができない。
また,原告は,本件明細書の段落【0028】,【0040】,【0069】に
は,全部のクラスタが選択されることを包含する内容の記載があること,実質的に
も,全部のサブバンドを選択してフィードバックした方がかえってフィードバック
情報量を削減できるといえることなども主張するが,原告が掲げた本件明細書の上
記各段落の記載によっても,常に全部のクラスタについての情報を「選択」すると
いう実施形態は明示されていない。なお,本件明細書の段落【0028】には,
「フィードバック内の情報の順序を基地局が知っている限り,フィードバック内の
どのSINR値がどのクラスタに対応しているかを示すためにクラスタインデクス
が必要になることはない。」としか記載されていないから,仮に,この実施形態が
全部のクラスタについての情報をフィードバックする実施形態を含むとしても,こ
のようなフィードバックの形態と加入者による「選択」との関係が不明であり,少
なくとも,常に全部のクラスタについての情報を報告する態様を「加入者による選
択」の一形態として含むことについて,本件明細書に明確な記載はないものという
べきである。かえって,原告の主張する解釈1を採用すると,本件発明4の課題解
決のための一つの構成として規定された構成要件4F,あるいは本件発明9の課題
解決のための一つの構成として規定された構成要件9Eにおける「前記加入者が選
択した・・・クラスタのグループの中の・・・クラスタを・・・割り当てる」との
意義が失われるというべきで,上記の解釈1は妥当でないと言わざるを得ない。
◆判決本文
◆同じ特許での被告が異なる事件でも同様に判断されています。平成26(ワ)24183
◆同じ特許での被告が異なる事件でも同様に判断されています。平成26(ワ)34227