1審(水戸地裁)では、著作権侵害なしと判断されましたが、知財高裁は、本件電子データの作成および掲載が、複製権および公衆送信権侵害と認定しました。
原審の判決(平成27年(ワ)第24号)はアップされていません。
被控訴人は,仮に被控訴人の行為が著作権侵害に当たるとしても,被控訴
人は,本件ホームページ掲載行為は何ら制限されていなかったと認識してお
り,したがって,被控訴人に故意過失は認められない,また,フリーペーパ
ーという本件冊子の性格や,編集者としての被控訴人の立場,被控訴人は,
控訴人自身がプレスリリースした本件冊子と全く同一のものを電子データ化
して本件ホームページに掲載したにすぎないこと,被控訴人は,平成26年
11月に控訴人から著作権料を請求されるや,僅か1週間足らずの同月7日
に本件ホームページから本件電子データを削除していること等の事情からす
れば,侵害の程度は著しく小さく,被控訴人の行為に違法性はないと主張す
る。
しかし,被控訴人は,本件各写真が控訴人の著作物であることを知りつつ,
これを掲載した本件冊子を,その許諾の範囲を超えて,電子データ化した上,
インターネット上の本件ホームページに掲載したのであるから,控訴人が有
する本件各写真の著作権(複製権,公衆送信権)を侵害することについて,
少なくとも過失が認められる。
また,本件における被侵害利益(控訴人が有する本件各写真の著作権)や
侵害行為の態様(電子データ化して3か月弱インターネット上の本件ホーム
ページに掲載した)を考慮すれば,被控訴人が指摘する点を踏まえたとして
も,違法性がないとはいえないことは明らかである。
以上によれば,本件ホームページ掲載行為による著作権侵害について被控
訴人の過失及び行為の違法性が認められるというべきであり,これに反する
被控訴人の主張は理由がない。
◆判決本文