平成28(ネ)10006  債務不存在確認請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成28年7月13日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 iPhoneなどのタッチパネルの制御発明について、1審と同じく104条の3で権利公使不能と判断されました。無効審判において訂正を行いましたが、その補正も要旨変更と判断されました。登録時の構成D、訂正請求時の構成D’および訂正請求を補正した後の構成要件D”については下記の通りです。
登録時の構成D
「前記カウント手段によりカウントされる指示部位の数に加えて,前記距離算出手段により算出される指示位置の間の距離又は該距離の過渡的な変化に応じて前記情報処理装置が所定の動作を行うようにする制御手段と,」

訂正請求時の構成D’(削除された部分を< >で,付加された部分を[ ]で示す。)
「<前記カウント手段によりカウントされる指示部位の数に加えて,>前前記距離算出手段により算出される指示位置の間の距離又は該距離の過渡的な変化[,及び前記カウント手段により前記一定の時間においてカウントされる指示部位の数又は該数の過渡的な変化]に応じて[,特定の時間において算出される指示位置の間の距離又は該距離の過渡的な変化,及び前記特定の時間においてカウントされる指示部位の数又は該数の過渡的な変化に対応した所定の動作から選ばれる所定の動作を,]前記情報処理装置が行うようにする制御手段と,」

訂正請求を補正した後の構成要件D”(削除された部分を< >で示す。)
「前記距離算出手段により算出される指示位置の間の距離又は該距離の過渡的な変化,及び前記カウント手段により前記一定の時間においてカウントされる指示部位の数<又は該数の過渡的な変化>に応じて,特定の時間において算出される指示位置の間の距離又は該距離の過渡的な変化,及び前記特定の時間においてカウントされる指示部位の数<又は該数の過渡的な変化>に対応した所定の動作から選ばれる所定の動作を,前記情報処理装置が行うようにする制御手段と」


 マルチタッチパネルシステムにおいて,位置検出手段により検出される2個所の 指示部位の指示位置の間の距離を算出し,算出される指示位置の間の距離又は該距 離の過渡的な変化に応じて所定の動作を行うことは,本件特許の出願前周知の技術 と認められる(甲12の58頁4〜10行目,73頁2〜12行目,甲22の【0 015】〜【0017】【0046】,甲23の【0036】【0037】【図10】 【図11】参照)である。 上記ア(ア)のとおり,甲13発明も2箇所の指示位置の間の距離の相対比又はその 過渡的変化に着目しているものであり,指示位置間の距離又はその過渡的変化を基 礎としているから,甲13発明において,上記周知技術を適用し,その距離算定方 法を構成要件B及Cの距離算定方法に置換することは,当業者が適宜なす程度のことであり,容易に想到できる。
(イ) 控訴人の主張について
控訴人は,相違点1は容易に想到できないと主張するが,相違点B及び相違点C の存在を前提とする主張であり,本件発明1と甲13発明とが,相違点B及び相違 点 C の点で相違するものでないことは,上記アに認定のとおりであるから,その主 張を採用することはできない。
ウ 小括 以上からすれば,本件発明1は,甲13発明及び周知技術に基いて,当業者が容 易に発明することができる。そうすると,本件発明1に係る特許は,特許無効審判 により無効にされるべきものと認められる。

◆判決本文

◆原審はこちら。平成26年(ワ)第371号

◆関連の無効審判事件です。平成27(行ケ)10185

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