文言は被侵害、均等侵害も第1要件を充足していないとして否定されました。メーカではなく販売店が被告というのも興味深いです。
すなわち均等侵害が認められるためには,本件発明と被告方法の構成に異なる部分が存在する場合であっても,その部分が本件発明の本質的部分ではないこと
が要件となるところ,ここでいう特許発明における本質的部分とは,当該特許発明
の特許請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分であると解すべきであり,上記本質的部分は,特許請求の範囲及び明
細書の記載に基づいて,特許発明の課題及び解決手段(特許法36条4項,特許法
施行規則24条の2参照)とその効果(目的及び構成とその効果。平成6年法律第116号による改正前の特許法36条4項参照)を把握した上で,特許発明の特許
請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が何であるかを確定することによって認定されるべきである(知財高裁平成
28年3月25日特別部判決)。
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本件発明の上記課題及び解決手段とその効果に照らすと,本件発明は,本件
特許の特許請求の範囲請求項1の発明に係るおかゆ調理器を用いたおかゆの調理方
法として,「粉砕段階」,「加熱段階」を含む複数の動作段階を設定し,それら動
作段階の一部についてはその順序,時間,回数等を具体的に指定し,穀物の粉砕手
段及び加熱手段を一体化した組合せとすることにより,通常のおかゆの調理方法に
おいて時間を要していたふやかしの時間及び全体の調理時間の短縮を図り,また,
通常の調理方法においてはかきまぜの継続によって解消していたおかゆの焦げ付き
も防止するなど,より簡便,迅速に本来の風味を有するおかゆの調理ができるよう
にしたものであると認められる。
ところでおかゆの調理方法として,加熱や粉砕の動作を適宜組合せることは,周
知であるから(本件明細書の【0005】),本件特許の特許請求の範囲請求項1
の発明に係るおかゆ調理器を用いたおかゆの調理方法である本件発明における本質
的部分とは,調理方法を決定するところの「粉砕段階」,「加熱段階」,「待機段
階」という一連の動作段階の設定,及び各動作段階において具体的に規定された粉
砕及び加熱の動作並びに待機の順序,各動作及び待機の時間,各動作及び待機の回
数等を一体化した組合せそのものにあると認められる。
(6) これに対し,被告方法は,既述のとおり,少なくとも,その第1及び第2の
粉砕段階において,本件発明の構成要件として規定された粉砕と待機とは異なる時間,回数の粉砕と待機がなされるものであるから,動作等の組合せにおいて,本件
発明の一体化した組合せとは異なっており,この相違部分は本件発明の本質的部分
に存するものといわなければならない,
したがって,被告方法は,均等の第1要件を充足するとは認められない。
◆判決本文