「フェルゴッド」と「フェルガード」が非類似と判断されました。双方とも登録されてましたが、商標権侵害として訴訟が提起されました。東京地裁は非類似と判断しました。指定商品が「フェルラ酸,ガーデンアンゼリカ抽出物及びカジメ等を原材料とする健康補助食品」というサプリメントです。
まず,本件商標と被告各標章「フェルゴッド」との部分からは,いずれも特定の
観念を生じないものである。
次に,本件商標からは「フェルガード」の称呼を生じ,被告各標章の「フェルゴ
ッド」の部分からは「フェルゴッド」の称呼を生じるところ,両称呼は,「フェル」
で始まり「ド」で終わるとの点において共通するが,両称呼を一連に称呼した場合
には,称呼全体の語調,語感において異なる印象を与えるものというべきである。
さらに,本件商標と被告各標章の「フェルゴッド」の部分の外観についてみても,
同様に「フェル」で始まり「ド」で終わるとの点において共通するが,本件商標は
「フェルガード」(標準文字)から成り,「フェル」や「ド」の部分が特に強調さ
れているということもなく,この点は被告各標章の「フェルゴッド」の部分につい
ても同様であるから,本件商標と被告各標章の「フェルゴッド」の部分とを一体的
に観察すれば,両者の外観は異なる印象を与えるものというべきである。
以上によれば,本件商標が付された原告商品と被告各標章が付された被告各商品
とがいずれもフェルラ酸とガーデンアンゼリカを主成分とする健康補助食品であり,
いずれも白色系統色を基調とする外箱を包装とする点,通信販売により販売されて
いる点,認知症の患者及びその家族を需要者とする点などにおいて共通すること,
本件商標が付された原告商品について紹介する書籍,論文,記事等が複数存在する
ことを考慮しても,なお,本件商標と被告各標章とを対比したときに,需要者にお
いて,商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認めることはできない
から,被告各標章は,本件商標に類似しないというべきである。
(6) 原告の主張について
ア 原告は,本件商標を付した原告商品が,フェルラ酸を使用した認知症サプリ
メントの先駆け的な商品であって,「フェルラ酸含有食品」といえばまず本件商標
を想起するというほど,本件商標は,医師,認知症患者及びその家族のみならず,
全国的に周知された著名な商標であると主張する。
そこで検討するに,前記4(ア)のとおり,確かに,原告商品を紹介する書籍,論文,
記事等が複数存在することが認められる。しかしながら,上記各書籍の発行部数等
は明らかではないし,論文や会議での発表についてはその対象が相当程度限定されたものであることが推認できるほか,上記雑誌等の紹介記事をもっても,本件商標
が具体的にどの程度認知されているのかは判然としないというほかはない。現に,
原告自身が提出する証拠によっても,原告商品の利用者数は5000人ないし60
00人というのであって,我が国の人口や,そのうち認知症に罹患していると推定
される患者数やその家族の人数との比較からしても,本件商標が全国的に周知され
た著名な商標であるとは認め難いというほかはない。よって,本件商標の周知性,
著名性を前提として本件商標と被告各標章との対比を行うべきかのような原告の主
張は採用することができない。
◆判決本文