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●ビジネスモデル特許(びじねすもでるとっきょ)-Business Method Patents−特許関係−

 ”ビジネスモデル特許”とは、ビジネスの方法やビジネスの仕組みに関する特許をいう。米国では、ビジネス方法の特許(Business Method Patent)と呼ばれることが多い。日本では、報道関係者が「ビジネスモデル特許」としたため、一般には、この表現が用いられている。頭文字をとって、BMPと略されることもある。また、ビジネスプロセス特許と呼ぶ人もいる。

 1998年〜2000年すぎまで、日・米で大きな話題となった特許である。ビジネスモデル特許を契機に、多くの非製造業(広告代理店、金融機関など)が、特許権を戦略的に用いるきっかけとなった。現在は、その流れが定着している。

 なお、米国における1998年のState Street Bank最高裁判決が、ビジネスモデル特許を定着させるきっかけを作った。しかし、その後、米国では、2014年のAlice最高裁判決により、ビジネスモデルに関する発明は抽象的であり特許対象から除外されるとの判決が出され、現在では、ビジネスモデルの特許性について、日本より厳しい審査がなされている。

 以下、参考のため、2000年当時の状況を記しておく。



 ビジネスモデル特許は、1998年7月米国高等裁判所(CAFC)の、State Street Bank事件判決によって、大きく注目されたものである。この判決により、「ビジネスの方法を特許対象から除外するという原則(business method exception)」は誤りであることが示された。裁判所が、ビジネス方法に関する特許について、その有効性を認めたことで、ビジネス方モデル特許を戦略的に用いる米国企業が増加した。

 その後、米国では、1999年10月に、AMAZON.COMがビジネスモデル特許に基づいてBarnes&Noble.comを訴え、わずか40日で、差し止めの仮処分を得るという事件が起こった。これにより、ビジネスモデル特許が、現実に力を持つことが認識され、さらなる注目を集めることとなった。

 日本でも、State Street Bank事件判決は、一部専門家の間で話題になっていたが、一般には、あまり大きな関心をもたらすものではなかった。

 しかし、この判決から約1年ほど後、特許庁が、「特許から見た金融ビジネス」(1999年6月)、「インターネット上の仲介ビジネスについて」(1999年8月)を相次いで公表し、この分野に対する関心が徐々に高まった。1999年9月に入って、日経コンピュータ「ビジネスモデル特許の衝撃」(日経コンピュータ、1999年9月13日号)に、特許庁審査基準室長のインタビュー記事が掲載されたことをきっかけに、先進的な企業はその対応を急いだ。

 さらに、先のAMAZON.COM事件が報じられたことにより、盛り上がりつつあったビジネスモデル特許に対する関心が、急激に高まった。このため、2000年に入ってからは、各社とも、ビジネスモデル特許出願を大きく増加させている。また、ビジネスモデル特許の書籍も、多数発行された。

 ビジネスモデル特許が話題となった背景には、@プロパテント政策とAインターネットの普及がある。この点については、ビジネスモデル特許の基礎を参照のこと。

 ビジネスモデル特許の基礎的な事については、「ビジネスモデル特許の基礎」を参照のこと。また、話題となったビジネスモデルの事例については、「ビジネスモデル特許の流れ」を参照のこと。

 我が国では、純粋なビジネスモデルに対して特許は与えられず、コンピュータシステムとしてのビジネスモデルが特許となりうる対象である。つまり、我が国では、ビジネスモデル特許は、ソフトウエア特許の一形態として審査されている。なお、我が国では、技術的な新しさだけでなく、ビジネス手法の新しさも特許許否の判断対象とされている。

 米国では、コンピュータシステムであると否とに拘わらず、ビジネスモデル(ビジネス方法)は特許となりうるとの見方が一般的であった。しかし、Biiski判決により、米国においても、コンピュータを用いないビジネスモデルは特許対象でないことが明らかとなり、日米の取り扱いは接近傾向にある。

 ヨーロッパは、我が国と同じように、コンピュータシステムとしてのビジネスモデルでなければ特許対象とならない。また、ビジネス手法が新しくとも、技術的な新しさがなければ、特許されないと言う点において、我が国よりも、ビジネスモデルに対する特許保護が狭いといえる。

 日・米・欧におけるビジネスモデル特許の比較は、"Patentability of Business Method Inventions in Japan Compared with the US and Europe"を参照のこと。

 ビジネスモデル特許についての報道は沈静化しているが、企業活動におけるビジネスモデル特許の重要性は増加しており、実務面では、依然として、ビジネスモデル特許への関心が高いといえる。

(弁理士 古谷栄男)

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