3人がけの席に、正味3人がけで満席という状態であり、「盛況」の雰囲気がありました。場の雰囲気が、ポジティブでいい感じです。講義だけではなく、セミナーでも、あえて席数をギリギリにして(立ち見はないようにして)セッティングしたほうが、参加者にもいい感じが伝わるので、いいかもしれません。
日本企業がいろいろな製品において世界シェアを落としていること、しかし悲観的に見る必要はなく100%のシェアからスタートしている製品が多いので、知財の活用を上手くすれば、大きな希望があることを説明しました。アンケートでは、多くの学生が、この点に納得してくれたようです。
進歩性の演習もしました。「構成の困難性」「それに基づく効果」を、演習にて実感してもらおうというわけです。時間の関係があり、2問しかできませんでしたが、この演習が面白かったという学生が多かったです。
4月23日、5月7日の、あと2回です。次回は、特許権の効力を解説する予定にしています。
]]>ワークショップということでしたので、導入部分は、サンデル教授の白熱教室をモデルに構築してみました。
テーマは、「工業技術センターが特許出願をする意義」にしました。技術成果を社会に広く還元すべき公的な研究所が、発明を独占する意義について、研究者の皆さんと一緒に考えました。独立行政法人になった大学よりも、さらに公的性格の強い研究所の存立目的との整合性が焦点になり、議論が白熱しました。
特許を取得しておかなければ、発明を具現化して商品・サービスにする企業が現れず、そのような企業が現れなければ、研究所の研究成果が商品・サービスとして社会において実現できず、結果的に研究成果を社会に還元できないことになる。したがって、特許出願が必要であるという概ねの結論になりました。
自らの論理を説明するのではなく、参加者の論理を聞き、批判し、同意し、修正しを繰り返して、結論らしきものを導くのは、その最中ドキドキしますね。ひょっとしたら、そのドキドキ感にはまってしまうかもしれません。知財白熱教室です。
]]>改訂した教科書・サブノートの評判は上々です。教科書よりも講義の方が分かりやすいという意見がありました。もしそうでなかったら、講義を受ける意味が無いですよね。
講義の進行を遅くしてまで取り入れた演習でしたが、その人気は、8項目(下図参照)の内で最低でした。期末のアンケートでは、その原因を聞いてみる予定です。まあ、他の項目が良すぎたという、ポジティブな解釈もあります。
最も力を入れた「やる気の出し方」の話ですが、1組(午前のクラス)では二番人気でした。大成功です。なお、2組(午後のクラス)では、四番人気になっています。同じ話をすると、2回目は迫力がなくなるということかもしれません。
ちなみに、「やる気の出し方」の話は、要約すると「やる気を出すにはやるしかない」ということをテーマに、体験談を中心に、20分ほど話したものです。
8. この授業において興味が持てた項目はどれですか(1組) | ||||
項目 | 回答数 | グラフ | ||
1. やる気の出し方 | 22 | 55.0% | ||
2. 知的財産を学ぶ意味 | 20 | 50.0% | ||
3. 何が特許になるのか | 15 | 37.5% | ||
4. 特許権の効力 | 20 | 50.0% | ||
5. 原則・しかし・そこでの使い方 | 25 | 62.5% | ||
6. クラス内演習 | 4 | 10.0% | ||
7. 自習課題 | 8 | 20.0% | ||
8. 書籍の紹介 | 8 | 20.0% | ||
9. その他( 内容参照 ) | 3 | 7.5% | ||
10. 未回答 | 2 | 5.0% |
8. この授業において興味が持てた項目はどれですか(2組) | ||||
項目 | 回答数 | グラフ | ||
1. やる気の出し方 | 14 | 42.4% | ||
2. 知的財産を学ぶ意味 | 18 | 54.5% | ||
3. 何が特許になるのか | 19 | 57.5% | ||
4. 特許権の効力 | 13 | 39.3% | ||
5. 原則・しかし・そこでの使い方 | 16 | 48.4% | ||
6. クラス内演習 | 6 | 18.1% | ||
7. 自習課題 | 7 | 21.2% | ||
8. 書籍の紹介 | 2 | 6.0% | ||
9. その他( 内容参照 ) | 2 | 6.0% | ||
10. 未回答 | 1 | 3.0% |
]]>
授業の中で良かった項目を選択して貰いました。「やる気の出し方」「記述式問題の説明の仕方」「知的財産を学ぶ意味」などが評判良かったです。「やる気の出し方」は、今年から採用した冒頭ネタですので、この評価が高かったのが嬉しい。
内容で評価が高かったのは「特許権の効力」でした。このあたりは、予想どおりです。
また、毎回、自習課題を出しているのですが、この評価が高かったです。意識が高い!
「1番興味が持てたのは古谷先生の生き方です。」という回答があって、思わず微笑みました。真似したら楽しすぎて大変なことになるよ!
]]>今年から、講義の入りを変えました。スマートに生きてきたように見せたい私でしたが、スマートとは言い難い体験談(たとえば弁理士受験時代のこと)を話しながら、私のメッセージを伝えるようにしてみました。
大人数講義において、学生との一体感をどのように出せばよいのかというのが、ここ数年の私のテーマの一つでした。そこで、先週の木曜日に、宮北侑季先生の「心に響く話し方セミナー」に参加してきました。メッセージを伝えるために、自分自身の体験を、聞き手がイメージを描けるように(つまり聞き手も体験したような気になるように)話すことの重要性とその手法を教えて頂きました(ちなみに、参加者として会社経営者が多く、多くの刺激も貰いました)。それを、早速、今回の講義で応用してみました。アンケートの結果が出るまで、学生がどのように受け止めたのかはわかりませんが、現場ではいい感じでした。
]]>昨年度、関西大学で250人の受講生を相手にして同様のアンケートを試みたところ、7:3で、マイクを使った方が良いとの結果がでている。不評の理由としては、私は授業中に歩き回るため、音源が移動し、聞きづらいときがあるというのが多かったです。
今年度の関西大学ではマイクを使って講義する予定であるが、将来250人を相手にしても、肉声の方が良かったというアンケート結果を貰えるようになりたいものです。
200人以上を対象にノーマイクで講義をしておられる方はいらっしゃるのでしょうか?
]]>土曜日に出てきて授業を受けようという学生ですから、熱心です。多くの質問が出て、授業が盛り上がりました。また、「特許法は発明時ではなく出願時を基準に新規性を判断するのはなぜか?」をある学生に問いかけてみたところ、次のような答えが返ってきました。
先ほど先生が言われたように、特許法は、発明を公開する代償として特許を与えるものです。発明の時点では、まだ、公開をするかどうかがはっきりしてないが、出願の時点では、発明を公開することの意思がはっきりしたといえます。したがって、公開の意思を明確にした出願時を基準として新規性を判断するのが理にかなっていると思います。
荒削りですが、工学部の学生の答えとは思えない、法律的センスのある答えに驚きました。初日から、いい感じです!
]]>中には、肉声の方がよいけれども、私ののどを心配してマイクを使ったらどうでしょうかという、優しい意見があり、ほろりと来ました。
次回からマイクを使用しますが、発声練習は続けます。
]]>マイクを使わずに、肉声で講義をしようと計画しました。250人に対して、本当に肉声で出来るのか、心配でしたが、やればできるものです。
元アナウンサーの島津先生のご指導により、発声練習を続けた成果が出たようです。声もかれませんでした。
私は授業中に、学生の席を移動しながら話すタイプです。マイクですと、私が移動しても、スピーカからの声は移動しません。肉声ですと、私が移動すると声の発生源が移動します。このため、肉声での音量さえ確保できれば、学生が私に集中する度合いは高まるのではないかと感じました。
電気回路を通した声よりも、生の声の方が、学生に伝わるのではないかと、思います。この点は、学生の授業アンケートの結果を見てと言うことになります。
]]>
実施料は、製品の工場出荷価格を基準に、その何%と決められることが多いようです。この社会的経済的な観点が、出願をするときの特許請求の範囲の作成実務に影響を与えます。
法的な観点のみで考えると、請求項に記載すべき対象物は、発明の本質を具現化した最小単位の部品であることが好ましいわけです。たとえば、自転車のハンドルに特徴のある発明をした場合、自転車全体の請求項にて権利を取得するよりも、ハンドルの請求項にて権利を取得する方が、多くの場合、強いということができます。「ハンドル」の侵害品が出てきたとき、ハンドルの請求項であれば直接侵害、自転車の請求項であれば間接侵害となるからです(間接侵害の方が「のみ」などの立証すべき項目が多くなり権利者にとって不利です)。
しかし、実施料(ライセンス)の観点から考えると、違った結論になります。ハンドルの請求項でライセンスを行う場合、ハンドルの単価を基準として%を決めることになります。自転車の請求項でライセンスを行う場合、自転車の単価を基準として%を決めることになります。もちろん、ハンドル部分に特徴がある場合、自転車の単価を基準として%を決める場合、%が低めに設定されることになりますが、それでもハンドルの単価から決定した実施料よりも高くなるのが一般的です。したがって、実施料の観点からいうと、最小部品ではなく、完成品を請求して権利を取得するのがよいことになります。
結局のところ、権利の強さと実施料の双方を考慮する場合、完成品と部品の双方の請求項を作成するのがよいということになります。
実際には、一つの権利で勝負をすることは少なく、複数の権利を束ねて勝負をしますので、上記のように単純に割り切れるものではありませんが、基本は変わりません。
]]>